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生活習慣病と食事
〜地産地消・食に対する興味が生活習慣病予防の重大な要!〜
(※2009年4月2日の山口新聞に掲載された記事です。)

 質問 1 生活習慣病対策で一番大事なのはなんでしょうか?

 心臓病や高脂血症、高血圧、脳血管の病気、がん、糖尿病、痛風、アルコール性肝炎、歯周病などの生活習慣病を防ぐには、食べ過ぎ、栄養のアンバランス、運動不足、飲酒、喫煙、などの悪しき生活習慣を、良い生活習慣に変えていくことといわれています。

 多くの生活習慣病対策の基本は、食生活の見直しと改善であり、もちろん病気予防の基本も栄養バランスのとれた適量の食事であり、毎日の食事を見直し、気をつけることが重要です。
     
 質問 2 地産地消が生活習慣病予防の重大な要とは?

 農業、水産業、畜産業などの一次産業は、主に私たちの「食」に関連する産業です。食の安全は、生活習慣病を予防する大きな要になるのです。具体的に例を挙げていきましょう。

 最近は健康志向が高まり、低農薬、有機栽培などの食材に関心を持つ人が増えてきました。多量の農薬をとり続けることによる、発がん性などの弊害を防ぎ、健康を維持したい目的からです。古い食材は、栄養成分が減っていくだけでなく、動脈硬化の促進に影響することがあります。土壌や、河川、海などの環境や畜産業における資料も大事です。

 私たちの食材の育つ環境が悪ければ、食材を通して間接的に私たちの体に有害物質を運び、健康を蝕んでいきます。地産地消は新鮮な食材が食卓にのることであり、生産者の顔が見えることで、安心安全の食材であるかどうかがわかりやすいというメリットがあります。

 しかしながら、安心安全の食材を一次産業の方々に頑張って作り続けていってもらうためには、一次産業を社会全体で守ろうとする理解と協力も必要です。健康をキーワードに商品開発を続けている各企業の取り組みや、各市町村で行っている農作放棄地解消への取り組みなど、関係する複数の取り組みを連動しながら継続することが、生活習慣病予防対策にも、じわじわと効果をもたらしていくと私は考えています。
     
 質問3 食に関する興味が生活習慣病予防に?

 食に対する興味が、生活習慣病予防に関連があるというと、大多数の方は怪訝な顔をされます。私は、循環器が専門ですので、生活習慣病の患者様をたくさん診てきました。25年前から食の重要性を訴え、医療の分野での食事指導を含め、さまざまな啓蒙活動をしてきました。しかし、その啓蒙活動の中で、食を制限するのでなく、食に興味を持ってもらうことが、最終的にバランスのよい食生活に戻っていただく一番の近道ではないかと思い始めているのです。まずは、低カロリーでも満腹感があり、美味しい食事ができるということを実感してもらうことが大事です。

 都会では、低カロリーの女性向けのコースメニューなどを提供しているレストランもありますが、山口県ではまだまだそういうレストランは少ないように思います。痩せるためとはいっても、難しいカロリー計算や苦しいカロリー制限をいくら厳しく言っても続かないのが現状なのです。

 美味しいから食べたいと思ってくれることが大事です。美味しければ、家でも作って食べてみたい、どうやって作るのかな?と思い始めます。幸いなことに、生活習慣病になりやすい人は、食べることが好きな人が多いのも事実です。そうなると、しめたものです。しかし、ここで作り方が難しいと、よほどの方でない限り、自宅で作ることはしません。健康を考えるレストランのメニューは、新鮮な素材そのものの美味しさと、ちょっとだけプロにコツを聞けば、自宅でも美味しく作れる簡単レシピがキーワードです。

 次に、興味を持っていただくのが、食材の栄養成分の話です。難しい栄養学の話でなくともいいのです。この食材にはこういう成分が最近発見されたなどの話は、その方が食事の時にお友達にちょっと自慢げに教えてあげられる内容ですし、制限するのではなく、できうる限り摂取することで体に良い食材の知識を持っていただくこと、まだまだ一般的には広まっていないビタミンやミネラルの役目などを知ることで、美味しく食べる組み合わせがいつの間にか身についていくように思います。食に対して興味がなく、ただお腹に入ればいいと思っている人は、逆に食事指導が難しいのです。

 先日、近くのレストランと管理栄養士さんに協力していただいて、私が主催した食事指導のセミナー「まさこドクター流・薬膳」は、このコンセプトにのっとって、安心・安全の厳選した素材とプロのシェフが作る簡単レシピで、美味しいながらもコース料理でカロリーは701カロリー、塩分は3.4gまで抑えることができました。しかも、最近発見された食品の持つ機能性の話しに加え、プロの調理人が当たり前と思っていても、一般の主婦が知らない料理のコツの話をしていただき、管理栄養士さんには、栄養に関するお話を簡単にしていただきました。アンケート結果を見ますと、量の満足に加え美味しかったと好評でした。生活習慣病の予防に対する食事指導には、このように、産地、レストランなど地域を巻き込んでの取り組みが継続的にできる仕組みが必要と考えています。
     
 質問4 食品の身体に及ぼす役割を教えてください

食品の体調調節機能
@生体の防御作用の強化
免疫増強作用、制癌作用
A疾病の予防と回復
糖尿病、高脂血症、高血圧
B生態リズムの調節
ホルモン作用、抗環境ホルモン作用
C肥満の防止
消化阻害、エネルギー消費促進
食欲抑制、低カロリー食品、非消化物質
D老化の防止
活性酸素・過酸化物質の除去
 食品の持つ機能は、一次機能、二次機能、三次機能の3つに分類されています。一次機能は、食品中の栄養素が生体に対して果たす役割であり、栄養性と呼ばれています。二次機能は、食品成分の特異構造が、感覚、例えば味覚などに訴える機能であり、食品の好き嫌いを決定する重要な機能です。三次機能は、体調調節機能と呼ばれ、食品の生態調節機能の重要な部分です。

 食品の体調調節機能には、@生体の防御作用の強化(免疫増強作用、制癌作用) A疾病の予防と回復(糖尿病、高脂血症、高血圧、アレルギーなどの予防治療) B生態リズムの調節(ホルモン作用、抗環境ホルモン作用) C肥満の防止(消化阻害、エネルギー消費促進、食欲抑制、低カロリー食品、非消化物質) D老化の防止(活性酸素・過酸化物質の除去) などがあります。

 このように食品の体調調節機能は、生活習慣病などの病気の予防に密接に関係があるのです。その機能のもとになるものが食品の中に含まれているのです。そして、その機能が古くから漢方や伝承薬として、一部は医薬品としても利用されてきたのです。また、特定保健食品は、食品の持つ三次機能をきちんと証明し、厚生労働省が認可した食品に与えられるものなのです。
     
 質問5 食品の体調調節機能についてもう少し詳しく教えてください。

 例えば、「大豆」に含まれているイソフラボンは、ポリフェノール化合物のひとつですが、抗酸化作用、制癌作用、女性ホルモン類似作用があることがわかっています。大豆サポニンは、血清脂質改善作用、過酸化脂質産生抑制作用などがあることがわかっており、動脈硬化の予防につながります。

 近年、食品の体調調節機能を医学的に解明していこうという機運が芽生えてきています。そのひとつの例が、民間の伝承薬として使用されていた、「桑の葉」の機能の証明です。糖尿病の治療薬として使われている「デオキシノジリマイシン」を含有していることがわかり、食後高血糖を改善することが明らかになってきています。また、産学共同研究により、動脈硬化を促進させる、酸化LDLへの酸化を抑える「Q3MG」という成分が含まれていることもわかってきました。食品の機能性を理解した上での食生活を続けると、さらなる生活習慣病の予防につながっていくのです。
     
 質問6 健康食品やサプリメントを上手に使うことは、生活習慣病予防につながりますか?

 残念ながら、健康食品やサプリメントの機能の評価はまだまだ十分とはいえません。この分野にいままで医師などの専門家の参加が不十分だったことも影響しています。健康食品やサプリメントを摂取する時には、主治医に相談されることをお勧めします。正しいサプリメントの選択が大事です。でも、基本は毎日の食事ということを忘れないでください。
     
 質問7 生活習慣病予防に対して、家庭で実行できる食生活改善方法をひとつだけ実行するとしたら何を勧めますか?

 最初にお話しましたように、食事は栄養のバランスが大事です。ですから、偏った食生活はお勧めできませんので、どういうものが足りてないか、あるいは摂りすぎているか、現在の食事内容を見直し、個別に食生活の改善をしていくことが理想です。

 しかし、今の食生活にプラスひとつだけ何かを実行したいなら、今よりも野菜と海藻きのこ類を多めに摂取することをお勧めします。理由は野菜の繊維や海藻、きのこ類は、制癌作用、抗高脂血症作用などをもっていること、色の濃い野菜に含まれているポリフェノール類は、生活習慣病や老化と関係する活性酸素を打ち消す力(抗酸化作用)を持っていること、カロリーが低いこと、平成19年の厚生労働省の国民栄養調査の結果「健康日本21」の野菜摂取量の目標値350gに対して、日本人の野菜摂取量の平均値は290gであり、大幅に少ないことが挙げられます。

 ただし、現在持病がある方、極端な食事制限が必要な方、あるいは摂取できない食品がある方もいらっしゃいますので、必ず主治医に相談してからにしてくだい。

徳山医師会理事 とさか まさこ

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